猫エイズの症状とは?初期から末期までの症状について
2023.7.27 ねこ , ペットコラム猫を飼っている人にとって、猫はただのペットではなく、家族も同然です。そんな愛猫の食欲がないなど、いつもと様子が違うと、心配でたまらなくなるのではないでしょうか。
多くの場合、愛猫の体調の変化は、人間と同じようにカゼを引いてしまったり、お腹を壊してしまったりなど、すぐに回復する軽い病気がほとんどです。 しかし、高齢になるにつれてさまざまな病気になるケースもあり、若くても猫エイズのように深刻化する感染症にかかる場合もあります。
猫エイズに見られる症状は、貧血や日和見感染、腫瘍などです。愛猫が猫エイズにかかっているかどうか心配な飼い主の方は、本記事で解説している症状を確認し、少しでも当てはまる場合は動物病院で診察を受けましょう。
さらに、猫エイズに感染しないための予防対策も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
猫エイズとは
猫エイズとは、猫が免疫不全になる感染症です。猫エイズは通称名で、正式には、猫免疫不全ウイルス感染症または猫後天性免疫不全症候群と呼ばれています。
免疫不全の症状は、発熱・リンパの腫れ・食欲低下などさまざまです。 猫エイズは、猫免疫不全ウイルスであるFIV(Feline Immunodeficiency Virus)によって感染します。
人間のエイズの原因は、HIV(Human Immunodeficiency Virus)のため、猫エイズと人間のエイズはウイルスが異なり、人間と猫の間では感染しません。
猫エイズは一度感染すると完治できない病気のため、飼い主が感染経路や症状を把握し、愛猫を猫エイズから守ってあげましょう。
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感染経路
猫エイズの感染経路は主に、猫同士の喧嘩によるものと、母親からの遺伝によるケースの2つです。それぞれを詳しく紹介します。
猫同士の喧嘩
猫エイズの感染経路のひとつは、FIV陽性猫との喧嘩です。猫同士の喧嘩はとても激しく、噛みついたり引っ掻いたりと、相手を傷つける行為が目立ちます。
FIV陽性猫の唾液にはウイルスが含まれており、噛んだときにウイルスが傷口から侵入することによって感染するパターンが一般的です。
一方、猫エイズは空気感染や飛沫感染はしないため、多頭飼いしている場合に発生するグルーミングや、食器を併用しただけでは、ほかの猫に感染しません。
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※3
母親からの遺伝
傷口からの感染以外に考えられる経路は、母親からの遺伝です。産まれる前の母親と子猫は胎盤でつながっており、胎盤をとおして栄養などを摂取しています。
そのため、母親がFIVに感染していると、胎盤からウイルスをもらってしまう可能性は少なくありませんが、必ずしも産まれてきた子猫が猫エイズに感染しているわけではありません。
猫エイズに感染している母親から産まれてきた子猫は抗体を持つため、血液検査では陽性となりますが、実際にはウイルスに感染していないケースもあります。
母親がFIVに感染しているとわかった場合は、子猫の健康状態を細かく確認し、小さな異変も見逃さないようにしましょう。
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代表的な症状
猫エイズは初期の段階では大きな症状は見られません。しかし、進行して免疫力が低下してくると、貧血・日和見感染・腫瘍などさまざまな症状が現れます。猫エイズの代表的な症状を確認しましょう。
出血や貧血
猫エイズは血液を作る機能を司っている骨髄を破壊するため、新たな赤血球を作り出せません。そのため、出血しやすくなるほか、貧血を起こしたります。
さらに、血管の傷ついた部分に集まって止血する役割のある血小板も作り出せなくなるため、ケガの治りが遅くなったり出血が止まりにくくなったりします。
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日和見感染
猫エイズは免疫力が低下するため、健康であれば心配のない病原体で発症してしまう、日和見感染を起こしやすくなります。
腫瘍
猫エイズの症状が進行すると、腫瘍も発生しやすくなります。本来、健康な体は、癌などの腫瘍を増殖させないよう抑える働きをしていますが、免疫力が低下すると、腫瘍の増殖を抑えられなくなるためです。
猫エイズのステージ
猫エイズは急性期・無症状キャリア期・持続性全身性リンパ節症期・エイズ関連症候群・エイズ期の、5つのステージをゆっくり進行するのが特徴です。
それぞれのステージの症状や、期間について解説します。
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急性期
猫エイズに感染してから1〜数か月の間、一時的なリンパ節の腫れや発熱が見られる期間が急性期です。
この期間は元気がなくなる猫が多く、活発さがない、運動量が極端に少なくなるなど、いつもの動きと異なる状態になります。 急性期の次は、症状がない無症状キャリア期がしばらく続くため、早期発見するには、この期間の症状を見逃さないようにするのが重要です。
リンパ節の腫れや発熱の有無の確認に合わせて、おもちゃへのくいつきが悪い、お気に入りのポジションに飛び乗らないなど、変わった様子がないか定期的にチェックしましょう。
無症状キャリア期
数年間続くケースもある無症状キャリア期は、普段の愛猫の様子と変わらず、一見感染していないのではないかと思うほど無症状な期間です。
無症状キャリア期は健康に見えてしまうため、飼い主も気にせず普段どおり生活させてしまいます。
そのため、この時期はほかの猫に感染させやすい期間です。 無症状でも猫エイズに感染している場合、屋外に出るのを控えさせるなど、ほかの猫と接触を減らす対策を取らなければいけません。
しかし、急性期と無症状キャリア期を知らない飼い主だと、体調がよくなったと勘違いしやすいポイントです。
猫エイズに限らず、愛猫の様子がいつもと違うと感じた場合は、自己判断せず動物病院で診察を受けましょう。
持続性全身性リンパ節症期
無症状期間のあとは、リンパ腺は腫れあがる持続性全身性リンパ節症期です。
猫の全身にはリンパ節が多数ありますが、見た目ではわかりにくい場所に分布されているため、飼い主から見ても、このステージに入ったかどうかの見分けがつきにくい点があります。
しかし、リンパ節は下顎周辺や足のつけ根、膝の裏など確認しやすい部分もあるため、スキンシップの際に触って確認し、リンパ節が腫れてきていないか確認しましょう。
持続性全身性リンパ節症期は、リンパ節の腫れ以外は大きな体調の変化は見られません。
エイズ関連症候群
4つ目のステージであるエイズ関連症候群になると、徐々に免疫力が低下してくるため、体調の変化が目立ち始めます。
主な症状は、持続性全身リンパ節症期でのリンパの腫れにくわえ、口内炎・カゼ症状・下痢・皮膚病などです。
このステージではまだ食欲は落ちませんが、口内炎による痛みのため食べる量が減ります。飼い主が口内炎を目視しようとしても口を見せてくれない猫が多いため、進行度合いはよだれの量と口臭で確認しましょう。
口内炎が進行すると、よだれが増え口臭を感じます。
口内炎がひどい場合は、ご飯をペースト状にするなど、愛猫が食べやすいご飯を与えましょう。
猫は、自分で毛づくろいをして毛並みを保っていますが、口内の痛みによって毛づくろいをしなくなるため、毛並みも悪くなります。
エイズ関連症候群は1年ほど続き、徐々に体力が落ちていきます。
エイズ期
エイズ関連症候群での体力の低下によって、食欲低下・出血・貧血・腫瘍の発生・日和見感染などの症状が現れ、エイズ期に移行します。
エイズ期になると、常に空気中に存在する常在菌にも負けてしまうため、体調の悪化はさらに深刻なものとなります。
猫エイズの治療方法
猫エイズには、治療法がありません。猫エイズに感染した場合に行う治療は、猫エイズによって起こる症状を和らげるための対処療法です。
対症療法であるインターフェロン治療とステロイド投薬について解説します。
※7
インターフェロン治療
インターフェロン治療とは、体に増えていくウイルスを抑制する治療法です。本来健康な体は、ウイルスの増殖を抑えるインターフェロンを自分で生成しています。
猫エイズは感染するとインターフェロンの生成ができなくなるため、徐々に免疫力が低下するのが特徴です。
インターフェロン治療は投与によって免疫効果を高め、無症状キャリア期から持続性全身性リンパ節症期に移行するのを遅らせる効果が期待できます。
インターフェロン治療は、無症状キャリア期に効果的な治療法です。
しかし、免疫力の低下が始まると選択できません。
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ステロイド投薬
口内炎など炎症の緩和には、ステロイド投薬が有効です。
ステロイドの投薬によって炎症による痛みが抑えられるため、口内炎の痛みから食事が摂りづらくなっていた猫も食べられるようになります。
しかし、ステロイド投薬は長期服用による副作用が懸念されるため、一時的に用いられる治療法です。
対処療法はほかにも、免疫低下による二次感染を防ぐために細菌を壊す抗生剤や、悪性の腫瘍などの増殖を抑える抗がん剤治療があります。
猫エイズの予防方法
猫エイズには有効な治療法はありません。そのため、猫エイズにかからないよう正しい知識を習得し、感染予防対策を行いましょう。
猫エイズに対する予防対策は、室内で飼育する、感染猫との接触を避ける、去勢や避妊をする、病院で検査を受ける、予防接種を受けるなどです。
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室内飼いを徹底する
猫エイズに感染しない最も有効な方法は、室内飼いを徹底することです。
猫エイズは、FIV感染猫との喧嘩によって感染します。室内で生活する猫はほかの猫との接触がないため、母親からの遺伝でない限りは感染しません。
家族に迎え入れてからずっと室内飼いしている場合は問題ありませんが、これまで室外でも活動していた猫を室内のみで生活させる場合は、配慮が必要です。
室内のみで過ごすことがストレスにならないよう、過ごしやすい空間をつくりましょう。
快適な空間づくりには、キャットタワーなど遊ぶスペースを設けると、運動不足解消になるためおすすめです。
また、飼い主も愛猫とスキンシップをとる時間を積極的につくりましょう。
感染猫との接触を避ける
多頭飼いしている猫のなかにFIV感染猫がいる場合は、猫同士の過剰な接触を避けましょう。
猫エイズウイルスの感染力は弱いため、空気感染や飛沫感染はしません。よって、一緒の部屋で過ごさせるのは可能です。
しかし、どちらかが発情期で気が立っているときなど、喧嘩が起こりそうな時期は、それぞれ別の部屋で過ごさせるなど接触を避けましょう。
また、ウイルスは傷口をとおして感染します。
喧嘩がなくても飼い主が気づかないうちに傷ができているケースがあるため、可能であれば、食器やトイレの共用は控えておくのがおすすめです。
去勢や避妊を行う
猫の発情による屋外の猫との交流を防ぐため、愛猫には去勢や避妊をおすすめします。
猫の発情期は1月ごろから始まり、9月ごろまで続くのが一般的です 。発情期の猫は、異性の猫を求めるため、ほかの猫と積極的に関わろうとします。
猫エイズ予防のために室内飼いをおすすめしていますが、発情している猫にとってほかの猫と関わらずに生活することはストレスです。
また、発情期のオス猫はほかの猫に対して攻撃的になるため、外に出てしまうと喧嘩が起きやすく、喧嘩の傷が猫エイズにつながる可能性もあります。
愛猫のストレスを軽減するため、喧嘩の原因を減らすためには、去勢や避妊が有効な方法です。
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病院で検査を受ける
すでに猫がいる家庭に新たに猫を迎え入れる場合は、招き入れる猫が感染していないか、必ず動物病院で検査しましょう。
新たに仲間が増えたときは、先住猫の多くは警戒心があり、猫によっては攻撃的な態度をとるケースもあります。
仲良くなるまでは喧嘩などのトラブルも起こりやすいため、注意が必要な時期です。
万が一検査が陽性でも飛沫感染や空気感染はしないため、去勢・避妊をするなど、対策すれば感染は防げます。
予防接種を受ける
予防接種を受けるのも対策としておすすめです。しかし、猫エイズワクチンを摂取したとしても、感染を阻止できる確率は70%程度 のため、予防接種をすれば必ず防げるとは限りません。
予防接種は、あくまで感染しづらくする方法のひとつとして考え、そのほかの対策とあわせて予防しましょう。
愛猫の健康を守るために注意すべきは、猫エイズだけではありません。こちらの記事では、猫の肥満やダイエット方法について解説しています。
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まとめ
猫エイズは猫が免疫不全になる感染症です。
治療方法がないため、一度感染すると対処療法でしか対応できません。
猫エイズの感染経路は、母親以外の遺伝的なものを除けば、喧嘩などによるケガが原因で傷口から感染します。
猫と生活を共にする飼い主にとって猫は人間と同じ家族です。猫エイズに感染しないよう、室内飼いを徹底する、去勢や避妊をするなど予防対策しましょう。
人間と同じように、猫も病気や寿命によりいつかは亡くなります。家族同然の愛猫を気持ちよく送り出すためには、ペット葬の利用がおすすめです。
ペットが亡くなった場合、多くの自治体で引き取りは行っていますが、遺骨の回収や供養などはしてもらえません。しかしイオンのペット葬であれば、愛猫に寄り添った丁寧な対応で、火葬から納骨・埋葬・供養まですべて霊園内で行えます。
お骨拾いに立ち会えるプランもあるため、お骨を自宅に保管することも可能です。
愛猫の最期を温かく見送れる、イオンのペット葬の利用を検討しましょう。
参考文献
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